太田 知花

静岡県出身なんですが実家の隣に大工がいて、小さいころから作業している風景を日常的に目にしていたんです。その影響もあって自分が建てたものが街の中の一部になることに憧れて、学校や病院などの公共施設を作っている建設業の会社に入社しました。
新卒ですぐに監督として現場に入ったんですけど、女性の現場監督は私が初めて。男性だけの場所で女性が私だけという状態にみんなとまどっていました。そして、現場監督の仕事が初めてだった私も、何をしたら良いか分からずとまどっていました（笑）
でも、ようやく建物を一つ立てた時、「私がここにいる意味があるんだ」と感じたんです。

2年後、大手住宅メーカーから大規模な受注が継続的に入ることになりました。会社は公共事業をメインでやっていたので、住宅事業のリソースが足りません。なので、定期的な受注体制を整えるために、部署異動することになりました。
私がやっていたのは申請業務。工事をする際に役所や警察署に許可を取るため、書類や図面を提出するんです。図面を書くためにパソコンで設計するCADというシステムの使い方も学びました。
会社は楽しかったんですけど、入社してから8年後、全然違うことをやりたいなと思って転職を決めたんです。会社ではずっと裏方みたいな仕事だったので、お客さんとコミュニケーションを取るような仕事をしたいなと思って。

会社を辞めてからしばらくは自分の時間を過ごしてましたが、正社員でヨガインストラクターの仕事を見つけて、すぐに入社しました。以前からヨガ教室に通ってましたし、ハワイ旅行で海辺でヨガをしている人を見た時に、「いつかそんな生活をしてみたいなぁ」とずっと思ってたんです。
インストラクターの仕事はとても楽しかった。私のレッスンを気に入ってくれて、入会してくれたお客さんもいましたし、お客さんと色々と話せて毎日が充実していました。人間関係も良かったし、スタッフ同士も仲が良かった。この時の同僚は今でも仲良しです。

自分の視野を広げたくて、ヨガインストラクターの仕事を辞めて、東京に行く決心をしました。東京で色んなもの触れて、刺激を受けられれば自分が成長できると思ったんです。自分の世界が広がって、出来ることも増える。そんな未来にワクワクしていました。
ヨガインストラクターの仕事を辞めて、転職したのは、化粧品の外装をつくる会社。会社は図面を書ける人を探していたので、ちょうど1社目で培ったCADのスキルが認められたんです。
仕事は楽しかったです。商品企画みたいなことも出来たので、大手化粧品メーカーから「こういう商品を出すんだけど、これに合うパッケージを作って欲しい」という依頼に対して、提案できることが楽しかったし、やりがいを感じていました。
自分が設計した商品が売り場にあると、嬉しくなってついつい買っちゃいますよね。

色々あって仕事を辞めようか悩んでいた時、たまたま知り合ったイベント会社の社長に相談したら「うちに来る？」とオファーをもらったんです。仕事を辞めて自分でヨガのイベントを始めようかなと漠然と考えていた時期だったこともあって少し悩んだけど、凄い沢山のことが学べて自分自身を成長させられそうだと思って転職を決意しました。
入社後、仕事をしながらも社長と話したり会話を聞いたりして、自分の価値観が少しずつ変わりました。今まで会社で働くということは、指示されたことをやることだと思っていたんです。だって、会社がそれを求めていたから。
でも今の会社では社長がずっと考えている光景を目の当たりにして、自分の意識が少しずつ変わってきたように思えます。イベントを良くするためにずっと考えていたり、新規事業について考えていたり。街を歩いていても「この店は何でここにオープンしたんだろう？」とか「この店は何で利益を出してるんだろう」なんて会話を聞いていると、日々勉強なんだなと感じます。

今の会社に入ってから、社長と距離が近いこともあって、社長の働き方をずっと見ることが出来ています。ご飯を食べてるときも、歩いてるときも考え続けてる社長を見ると、少しずつ自分の意識が変わりました。一つ一つの変化を丁寧に見ながら、地道なことでもコツコツやることが大事なんだなと改めて気付かされたんです。

今までは自分がいた業界のことしか知らなかったし、他のことは関係ないと思ってました。でも、そう思うことで自分の視野が狭くなっていたことに気付いたんです。ビジネスのスキルと幅広い知識を手に入れるのは、会社の業務をこなすためだけではなくて「いつか自分がやりたいことを実現できる自分になる」ためなんですよね。