神先 凌太朗

大学時代は起業か就職かで迷ってました。起業するなら映像制作の会社を立ち上げようと思っていたんです。映像を作るのが好きだし、得意だったから、上手くいく自信はありました。
とはいえ、やるなら世界に挑めるぐらいデカいビジネスを立ち上げたいとも考えてたんですけど、僕が作れる映像は週に1,2本が限界。1週間で100本作るにはどうしたら良いのか当時の僕には分からなかったんです。
大きい事業を立ち上げるには、メガベンチャーが何をしているのかを知る必要があると思いました。だから、いつかデカいビジネスを創るために、働きながら事業をつくる経験ができる会社に就職したんです。

入社した会社は皆がめちゃめちゃ働いていたんです。入社前には華々しく見えていたビジネスの世界は、ほんの一部でしかなくて、ほとんどが泥臭い仕事だと思い知りました。ご飯を食べながら仕事をして、帰りが遅くなることも珍しくなかったんです。
目標はいつだって限界ギリギリ。ただ頑張るだけでは達成できないから、時間を節約するために工夫し続けたり、四六時中仕事のことを考えたり、当たり前のことを当たり前以上に地道にやり続ける。そうすることでやっと成果が出たんです。
遅くまで働くのは好きじゃありません。でも、遅くまで働いていると安心します。「今日は自分が誰よりも頑張ったんだ！」と思えるから。「頑張った分だけ世界に近づいている」と感じますし「世界に挑戦するんだからこれぐらいやらないとな」と思っています。

得意なことを仕事にするって本当に大事だなと思ってます。会社で過去最高の売上目標を団結して目指すために、映像を作るという話になったんです。その映像を僕が作ったんですけど、みんなに凄く喜んでもらえました。
「クオリティが高すぎて外注したのかと思った！」「企画力凄いね！」「映像かっこいいね！」と色んな人から声をかけてもらえて、自分が得意なことをやったらこんなに多くの人に喜んでもらえるんだと実感しました。
僕は細かい数字を追う仕事はそこまで得意ではなくて、他の人よりも時間がかかったり、ミスが発生したり…。映像制作と同じように真剣な気持ちで仕事に向き合ってるけど、パフォーマンスの違いはとても大きい。だから、“自分の得意” を仕事にすることは重要だと思うんです。

つい先日、アメリカに行ったんです。アメリカでは本気で夢を目指している人にたくさん出会いました。中でも印象的だったのが宇宙ベンチャーにいたギリシャ人の言葉。
「18歳でアメリカに来た当時、数学は出来たけど宇宙のことは全く分からなかった。でも必死に勉強して好きだった宇宙を仕事にしてるんだ。いま28歳で衛星22個も打ち上げてるんだよ、オレ！アメリカってヤバくないか!?(笑)」
夢をひたむきに目指して叶えている人に会って心が震えました。“自分の好き”に向けて得意を磨いていこうと決心した瞬間でした。

今回アメリカに行ったメインの理由は、知り合いの社長に「宇宙が好きだったら一緒に来ないか？」と誘われたからです。世界一の宇宙ベンチャーのロケットや工場が見れるということだったので、残っていた有休を全部使って行きました。現地では過去の留学経験が活きて、道案内や通訳などで社長に貢献することができたんです。現地では社長から「神先君がいてくれて良かったよ」と感謝されました。
帰国後の隔離期間で英語を勉強していたところ、社長から正式に「アメリカ企業との交渉役を任せたい」とオファーを頂いたんです。自分の夢である宇宙に関われる仕事にこんなすぐに関われるんだということを嬉しく思い快諾しました。今後も、得意な英語をもっと磨いて、ギリシャ人のように夢を叶えていきたいと思ってます。

社会人になって最初の一年は、目の前の仕事が本当にやりたいことなのか分からないまま全力で走り続けていて、つらかったです。
でも「やりたいことを見つけるために、興味があることを手当たり次第チャレンジしてみよう」と思ったらとても気が楽になりました。アプリをリリースしてみたり、アメリカに行ってみたり、やったことのないスポーツをしてみたり、やってみて「これちょっと違ったな」と思うことも多々ありました。でも、違うということが分かれば別の道に進めばいいだけなので、無駄だとは思わなかったんです。
いずれやりたいことが見つかるし、やりたいことが決まれば今の仕事の活かし方も分かります。その結果やりたいことが見つかり、今は宇宙ビジネスに向けて全力で走っています。